F1妄想

<<本日の音楽:Party Hard(Andrew W. K.)>>





それは少し前の話だ。

まるで世界を見渡せるかのような高き丘で戦争があった。
相対するは誰もが恐れる最強の皇帝率いる赤き軍勢と、
皇帝の恐怖政治を打ち崩さんとする若き勇者率いる青き群集。

それを見ていた誰もが思った。皇帝に勝てるはずがない。
誰もが知っていた。望みもしない永遠がそこにあることを。
それが真実だ。

だが勇者は知っている。真実とは相対的なものであることを。
立て、この大地に住まう民よ。信じよ、私が勝利することを。
さすれば、それが真実となる。

今、赤く染まった天が、紺碧の空へと変わる。
見えるか皇帝よ。これが私の力だ。世界の真意だ。
勇者が前進する。青き旗を高々と掲げて。

しかし、突如空には暗雲がひろがり、大地を濡らす雨粒が降り注ぐ。轟く雷鳴に体勢を崩す皇帝の跳ね馬。そして、そこに放たれたのは雷光の如き白銀の矢であった。

矢は皇帝の馬に突き刺さり、馬は絶命した。
勇者は好機とばかりに前進する。
天は我らに味方した。永遠に眠れ皇帝よ。それがこの世の真実だ。

皇帝は劣勢と判断すると、自分の城に撤退した。
覚えておけ、愚か者どもよ。この世を司るのは天ではない。力すなわち絶対の真理で全てを手に入れたこの私だ。

時は流れ。

難攻不落の城を落とし、玉座の間に雪崩れ込む青き群集。
さあ、覚悟しろ。
あとはお前一人だ。





アイ・ゲット・ウェット~パーティー・一直線!

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